近年、日本人の約40%、つまり2.5人に1人がアレルギー性鼻炎を持つと言われています。
そして、何の治療もしないで、アレルギー性鼻炎が自然に治ってしまうことは少なく、数%に満たないと報告されています。
したがって、一度アレルギー性鼻炎を発症すると、ズーっと、くしゃみ、鼻水、鼻づまりに悩まされてしまうのです。
アレルギー性鼻炎をお持ちの方は、目や耳、喉(のど)、全身の症状も合併することがあり注意が必要です。
部位ごとの主な症状
アレルギー性鼻炎の症状には、どのようなものがあるのでしょうか? まず、それぞれの部位ごとに症状を挙げていきます。
鼻の症状
アレルギー性鼻炎は、透明でサラサラした鼻水がボタボタと流れ出るほど多量に出るのが大きな特徴です。 併せて、鼻の奥がムズムズして、大きなくしゃみが何度も、5回・10回とたて続けに出ます。 一方、鼻もつまり、口で息をするようになります。 ひどくなると、息苦しくて夜も眠れないほどになることさえあります。 そして、こういった不快な鼻の症状は最低でも1週間は続きます。
目の症状
鼻の症状と合わせて多くの方に出現する症状が、目がかゆい、目のふちがただれるといった症状です。 また、目が充血して涙がたくさん出て涙目になります。 そして、ひどくなると結膜にむくみが出てゴロゴロと異物感を感じたり、目ヤニと腫れと涙でショボショボして目を開けられない状態になります。 これらは、アレルギー性鼻炎に合併して現われたアレルギー性結膜炎の症状です。
喉・味覚の症状
アレルゲンが喉の粘膜に付着するため、喉がイガイガしたりかゆかったりします。 また、鼻呼吸ができなくなるので喉が乾燥して荒れ、痛むこともあります。 さらに、味を感じづらくなり、耳の奥にかゆみを覚えることもあります。
皮膚の症状
顔がなんとなく腫れぼったくなったり、肌にピリピリ感を感じたりすることもあります。 また、かゆみを感じたり、かぶれができる方もいらっしゃいます。 また、それほどでなくても女性の方はお化粧のノリが悪いように感じるようです。
全身の症状
花粉症の時季になると頭痛を覚えたり、ひどい場合には微熱症状を訴える方もいらっしゃいます。 そして、ほとんどの方が、頭がボーッとして集中力がなくなるといった症状を持ちます。 また、痰(たん)のない乾いた咳(せき)が出たり、気管支ぜんそくを合併する方もいらっしゃいます。 さらに、下痢(げり)などの胃腸障害を持つ方もいらっしゃいます。
アレルギー性鼻炎のモーニングアタック
「アレルギー性鼻炎のモーニングアタック」という言葉を聞いたことがありますか? 1日のうちで、アレルギー性鼻炎の症状が一番出やすいのは朝方と言われています。 その理由は、人間の自律神経の働きの関係と、朝方が1日のうちで最も気温が低く症状が出やすいため、寝ている間の鼻水が鼻腔内にたまっているため――と説はさまざまです。 また、寝ているということは、ほこりなどのハウスダストや花粉がたくさん落ちている床の近くに鼻があるので症状が出やすいとも考えられています。 いずれにしてもアレルギー性鼻炎の症状が一番ひどいのは朝方で、逆に、治療をしても、最後まで症状が残りやすい時間帯も朝方です。
アレルギー性鼻炎が疑われたら・・・
鼻炎とはいっても全身にわたってさまざまな症状が出るアレルギー性鼻炎、スギ花粉が飛散する春先は、風邪やインフルエンザが流行する時期とも重なります。 また、同じアレルギー性鼻炎にもスギなどの花粉によるもの、あるいはハウスダストによるものかをはっきりさせなければ、予防する方法も分かりません。 そこで、アレルギー性鼻炎が疑われたら、耳鼻咽喉科を受診して、アレルギー性鼻炎なのか、そうだとしたらアレルゲンは何か――をはっきりさせ、治療を進めるとともに予防のための有効な対策を立てることが必要です。 次の項目をチェックして、当てはまる項目が多い場合は、アレルギー性鼻炎が疑われます。自己判断で市販の鼻炎薬や点眼薬を買うより、保険診療を受ける方が、より効果の高いお薬で、よりリーズナブルに治療できますので、ぜひ、耳鼻咽喉科を受診してください。
チェックリスト
- アレルギー性鼻炎の特徴であるサラサラとした鼻水、鼻づまり、連続するくしゃみがあるか
- 目にかゆみや発赤があったり、涙の分泌が多くないか
- 耳の奥がコヨコヨとかゆくないか
- 喉がかゆい、イガイガする、乾燥して痛いなどがないか
- 顔が腫れぼったい、ヒリヒリする、かゆい、ただれているといった症状がないか
- 痰がでない乾いた咳が出ないか
- 何となく食欲がない、胃腸の調子がわるいといったことがないか
- 倦怠感がないか
- 症状は1年中か、あるいは毎年同じ季節か(1年中→ハウスダスト、同じ季節→花粉)
- 症状がひどいのは日中か、夜中か(日中→花粉、夜中→ハウスダスト)
- 家族にアレルギー疾患の方がいるか
- 喘息(ぜんそく)、じんましんといったアレルギー性疾患の既往歴があるか
- 自宅や学校・職場の近くにアレルゲンとなる植物が多かったり、大気汚染がひどくないか