アレルギー性鼻炎を発症するかどうかは、その方の遺伝的な体質によるところが大きいため、残念ながら完全に予防することは困難です。 とはいえ、原因となるアレルゲンを周囲の環境から少しでも多く取り除き、接触を避けることで、症状を軽減することは可能です。 ここでは、花粉症をはじめとする季節性アレルギー性鼻炎とハウスダストなどによる通年性アレルギー性鼻炎に分けて、少しでも症状を和らげる方法をお伝えします。
通年性アレルギー性鼻炎症状の軽減
ハウスダストやダニが原因のアレルギー性鼻炎を発症するのは、家をよく掃除しないからだ――と責任を感じられている親御さんに時々出会いますが、これは誤解です。 なぜなら、どんなに丁寧に掃除をしても家の中のハウスダストやダニの根絶は無理だからです。 とはいえ、生活環境や掃除方法の工夫、除湿器の使用などで、ハウスダストやダニを減らすことは可能です。 厚生労働科学研究費補助金を受けて運営されているリウマチ・アレルギー情報センターが提供している「鼻アレルギーガイドライン」に記載されているハウスダスト、ダニの除去方法、ペットアレルゲンの減量は、次のとおりです。
室内塵・ダニの除去

- 室内の掃除には排気循環式の掃除機を用いる。1回につき1平方メートル当たり20秒の時間をかけ、週に2回以上掃除する。
- 布製ソファやカーペットの使用、畳はできるだけやめる。
- ベッドのマット、ふとん、枕にダニを通さないカバーをかける。
- 部屋の湿度を50%、室温を20~25℃に保つよう努力する。
ガイドラインには載っていませんが、寝具類は日光にあてて乾燥させ、取り込む際には掃除機をかけることも効果があります。 ただし、花粉症を併発していらっしゃる方は、寝具を外へ干すことは逆効果になりますので、布団乾燥機を利用してください。
通年性アレルギー性鼻炎症状の軽減

- できれば飼育をやめる。
- 屋外で飼い、寝室に入れない。
- ペットとペットの飼育環境を清潔に保つ。
- 床のカーペット敷を止め、フローリングにする。
- 通気をよくし、掃除を励行する。
季節性アレルギー性鼻炎症状の軽減
季節性アレルギー性鼻炎は、主にスギ、ヒノキ、ハンノキをアレルゲンとして春に発症するタイプと、ブタクサ、ヨモギ、カナムグラなどをアレルゲンとして秋に発症するタイプ、そして種類の多いイネ科の植物をアレルゲンとし、1年をとおして不定期に発症するタイプに分けられます。 これらの花粉によるアレルギー性鼻炎の症状軽減のためのガイドラインは次のとおりです。

- 花粉情報に注意する。
- 飛散の多い時期は外出を控える。
- 飛散の多いときは窓や戸をしめておく。
- 飛散の多いときの外出はマスク、メガネを使う。
- 表面がケバケバした毛織物などのコートの使用は避ける。
- 外から帰ったら、衣服や髪の花粉をよく払ってから家に入る。
- 外から帰ったら、洗顔、うがいをし、鼻をかむ。
- こまめに掃除を励行する。
ガイドラインの指針は以上のようですが、少し補足しましょう。 まず、マスクやメガネの効果をご説明します。 アレルギー性鼻炎の1種の花粉症は、アレルゲンである原因植物の花粉が、それに対抗する抗体を作り、再び同じ花粉が体内に入ってきたときに反応して症状を起こす病気です。 そこで、予防対策の基本は、原因である花粉を体内に入れないこと、つまり、アレルゲンを除去・回避することです。 完全に回避することは不可能ですが、少しでも減量するためには、マスクやメガネが必須です。 では、どのようなマスクやメガネがより効果的なのでしょう? 効果的なマスクとは、呼吸により花粉が取り込まれるのをよく防げるマスクです。 花粉捕集率と空気抵抗を測定する装置を使ったあるテストで、市販されているマスクを検査した結果、市販価格の高価なマスクがより効果的とは限らないことが分かりました。
そこで、値段でマスクを選ぶのではなく、一人ひとりの顔の形にあったフィット感がよいものを選ぶことが重要です。
また、高価なマスクを何日も使うより、比較的安価なマスクを1日1枚使い捨てにする方が、使用することでマスクに花粉が付着することを考えても、衛生面を考えても勝ると言えるでしょう。
また、季節性アレルギー性鼻炎の特徴の1つにアレルギー性結膜炎の合併があります。
アレルギー性結膜炎によるたまらない目のかゆみを予防するためには、メガネも予防対策グッズとして必要なものといえます。
最近では、花粉症対策用の横にカバーの付いたゴーグル型のメガネが市販されていますので、目の症状の強い方には利用をおすすめします。
通常の横が開いたメガネより効果的です。