注意してほしいこと
治療を開始する前に
治療を開始する前に初診時の問診では、患者さんの既往歴や家族の既往歴、現在服用しているお薬などをお聞きします。
場合によっては、舌下免疫療法が適さない場合もありますので、正しくお伝えください。また、少なくとも2年間は毎日連続して投与し続けなければなりませんし、少なくとも1ヶ月に1回は受診しなければなりません。
それが可能がどうかをご考慮ください。
注意事項
- 念のため、投与前後1~2時間は激しい運動、アルコール摂取、入浴は控えましょう。
- 治療中に異常が認められた場合には直ちに医療機関を受診しましょう。
- 誤って定量より多く口に入れてしまった場合は、直ちに吐き出してうがいをしましょう。
- 誤って舌下に保持せず飲み込んでしまった場合は、再度の服用を行わず、翌日以降に改めて正しい用量用法で服用しましょう。
- 服用を忘れた時は、同日中に気づいたときはその時点でその日の分を服用しますが、前日の飲み忘れに気づいてもその日の分のみを服用し、2日分服用してはいけません。
- 口内炎や口腔内外傷など、口の中に傷がある場合は服用を休止し、電話でご連絡ください。
また、ダニアレルギー舌下免疫療法のその効果を確実に得るためにアレルゲンの回避は必須です。つまり、アレルゲンであるダニの死骸や糞に可能な限り触れないようにすることが重要です。
そのためには、まず、次のような点に注意してください。
- ダニが繁殖しやすい環境(室内温度25℃以上、相対湿度60%以上)を避け、常に室内の清潔や通気を心がけましょう。部屋の室温を20〜25℃、湿度を45%程度。
- ダニが繁殖しやすいじゅうたんや布製のソファなどの使用は避け、できれば床はフローリングにしましょう。
- 床や畳の掃除機かけは、1畳あたり30秒以上の時間をかけて毎日行うことを心がけましょう。
- 寝具の管理は重要なので、寝具への掃除機かけも1畳あたり30秒以上(1m2当たり20秒)の時間をかけて、週1回以上行いましょう。また、シーツや布団カバー、枕カバーなどはこまめに洗濯することを心がけましょう。(防ダニ効果のシーツの利用はある程度の効果を望めますが、殺ダニ剤を使用することはお勧めできません)
- 年1回は、室内の徹底した大掃除を行いましょう。
- 室内で飼うイヌやネコなどのペットの飼育は、ペットアレルゲンの新規感作やダニアレルゲンの増加をもたらすので避けましょう。
副作用について
舌下治療の副作用として一番心配なのはアナフィラキシーショックです。
アナフィラキシーショックは特定の起因物質により引き起こされる全身性のアレルギー反応で、命にもかかわる重篤な状態です。しかし、舌下免疫療法の場合、国内ではアナフィラキシーショックの報告はなく、先に治療を開始した欧米でも1億回の投与で1回程度生じたとの報告があるだけです。
過度に心配する必要はありませんが、服用後、下記のような症状を自覚したらすぐに医療機関を受診してください。
アナフィラキシーショックの前駆症状
口内異常感、口唇のしびれ、喉の詰まった感じ、嚥下(えんげ)困難感、両手足末端のしびれ、心悸亢進(しんきこうしん)、悪心(おしん)、耳鳴り、めまい、胸部不快感、目の前が暗くなった感じ、虚脱感、四肢の冷感、腹痛、尿意、便意
アナフィラキシーショックの場合の対応
生死にかかわるようなアナフィラキシーショックはほとんど起こらないと申し上げましたが、万一に備えてその対応をお伝えします。多くの場合、服用後10分以内に起こります。速い場合は約30秒後には起こり、一般に早いものほど重症と言われています。
ご本人が前述の前駆症状を感じた場合には早急に医療機関を受診してください。
当院では、万が一に備えてアドレナリンという注射で対処できるよう準備を整えています。なお、重篤な症状(心肺停止、ショック状態、気道狭窄による呼吸困難)の場合は救急車を呼んで搬送し、救急救命の専門治療が必要となります。また、投与後数時間たっても口腔や咽頭などの違和感、掻痒感、腫脹が軽減しない場合も、医師に連絡してください。
そのほか注意しなくてはならないのは、咽頭・喉頭の腫れで、数%の頻度で起こるとされています。また、ごく稀ですが喘息発作誘発もあります。
軽度の咽頭の刺激感や口腔の痒みや腫れ、耳の痒みなどが見られることもありますが、これらの多くは治療を継続することで自然に改善していきます。我慢できないようなひどい症状が続く場合は医師にご相談ください。