スギ舌下免疫療法とは

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はじめに ~ スギ舌下免疫療法とは ~

2010年より日本国内で始まった臨床治験の結果、スギ花粉症における舌下免疫療法の効果が実証され、治療薬の製造販売、2014年には保険診療の適応が始まり治療が進められています。
舌下免疫療法は“治る治療”として期待が大きいわけですが内容がすこしややこしい為、まずはHPでもご説明させて頂き患者さん自身に内容をご理解していただくことで、良い提供ができるのではないかと考えております。

舌下免疫療法を約2年間行うと、
約6割の人が花粉症の症状が軽くなり、約2割の人が完解すると報告されています。
(国内臨床試験結果より)
ただし、残りの約2割の方には残念ながら効果が出なかったということにはなります。

治療方法は、3〜5年間、毎日舌の下に錠剤を含まなければなりません。また、臨床試験では重篤な副作用はみられませんでしたが、今後命にかかわるようなショックが絶対生じないということではありません。
ですので、舌下免疫療法を受ける上で、

・約2割の方は効果が出ない
・少なくとも3年間、毎日舌の下に錠剤を含まなければならない
・命にかかわるような副作用が絶対生じないとは言えない

この3点についてよくご理解いただける方に、舌下免疫療法を開始していただきたいと思います。
反対にご理解いただけない方、ご自身での継続的な治療が難しい方にはお薦めできません。舌下免疫療法を開始できない旨、ご了承ください。

アレルゲン免疫療法の種類

花粉症治療として根本的な体質改善を期待する方法としてアレルゲン免疫療法があります。
特色として花粉に対して免疫をつける治療法のため、他の治療法と比較した場合、長期的に渡って治癒が期待できることです。効果として、体質改善により症状がみられなくなることもあります。ただし、治療期間が長くなり低いですが、重篤な副作用を引き起こす可能性があります。

種類としては、皮下免疫療法舌下免疫療法が存在しますが、このページでは選択される方が多く当院でも実施を行っている、舌下免疫療法のご紹介を致します。
また皮下免疫療法は、当院ではゾレア皮下注射になります。詳しくは、こちらをご覧ください。

舌下免疫療法

注射による方法では、注射による痛みや通院が大変なことが問題でした。そこで、同じ事を注射以外でもできないかと考えられるようになり、鼻に投与する方法や飲む方法などが検討されました。その結果多くの研究が繰り返され、舌下法が最も簡易にかつ安全に行える方法という結論に至りました。

アレルギー反応の一種であるスギ花粉症にも、舌下免疫療法が行なえないかと考えられたのですが、スギ花粉症は海外に無い日本特有の病気ですので、海外での結果は参考にできませんでした。そこで、ごく限られた施設が自主的に臨床研究をはじめ、何年もかけて研究成果が出てきたことにより、注射による免疫療法を行なっている会社(鳥居薬品)が臨床試験を行ない、2014年に保険適応になりました。

舌下免疫療法による効果

  • くしゃみ・鼻水・鼻づまりが、軽くなる、もしくは消失する
  • 目のかゆみ・涙目が、軽くなる、もしくは消失する
  • 花粉飛散期アレルギー治療薬を、あまりもしくは全く使わなくて済む
  • 花粉の時期に生活がしやすくなる。(QOLの改善)
皮下免疫療法と舌下免疫療法の比較皮下免疫療法舌下免疫療法
投薬方法注射舌下に含んで飲み込む
患者様にかかる負担注射による痛みや腫れを伴う口に含むため、痛みはありません
投与場所クリニック自宅など(初回のみクリニック)
全身的な副作用稀に重篤ほとんどない
治療期間3~5年3~5年
治療効果7~8割以上の方が改善7~8割以上の方が改善
皮下免疫療法と舌下免疫療法の比較

舌下免疫療法は、皮下免疫療法と比較しても利点が多い治療方法です。

このような方におすすめします

  • 治療期間が長期にわたっても、治癒(スギに対するアレルギー体質がなくなる事)を望んでいる方
  • 飲み薬やスプレーをしても、症状が軽くならない方
  • 飲み薬で、眠気などの副作用がひどい方
  • 花粉症の症状を少しでもよくするか、服用中の薬を減らしたい。
  • 下甲介粘膜レーザー焼灼術(レーザー治療)を行っても症状の軽減を感じない方

治療の流れと費用

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